ブログで知り合った若い体育の先生から、メールが届いた。
彼の勤めている学校は近年、女子校から男女共学の進学校を目指して、私学の生き残りを図っている。
部活動大好き人間から脱却し、学校の中枢としての仕事ぶりや家庭を大事に生活していく前向きな姿勢が感じられた。
『○○先生
いつもお世話になっております。近況報告です。
連休中は新人大会もありましたが、出場が個人3名だったので、今日一日は家族でゆっくり過ごさせてもらいました。動物園に行きましたが、何処も家族連れで人だらけですね。こういう環境に慣れていないせいか疲れましたが、家族サービスはできたかと。

独身時代に買ったランクルプラドが195000kmでとうとう壊れ、5ナンバーのハイブリットミニバンを購入。今まで、車が家庭に還元できていなかったので、妻と子どもの事を考えて陸上部の選手を乗せる専用車ではなく、家族の車の為になるようにします(笑)
忙しい毎日を過ごさせてもらっています。学校では中学生の親のクレームが毎日のように来ているようです。特に、進学コースの保護者は権利意識が高いようで、こちらの常識が通用しないと教頭が嘆いていました。
実績のない学校へ期待値とお得感だけで入った層なのでやむ得ないところもあるかと思いますが・・・。
部活は無理せず無茶せずやっていますが、それでも親の感覚というか理解を得るのは大変です。子どもの意識というか親の感覚を疑うことが多くなりました。
子どもが疲れていたら「用事があるから休みなさいと先生に言ってきなさい」とか、「一緒に子どもと悩んでしまって励ますどころか家族で落ち込んでしまう」とか、子どもは悪気なく話をするので、こういうケースがよく伝わってきます。
共学になり、サッカーや野球などのスポーツができるように防球ネット工事を行ったものの、近隣からのクレームがあるようです。
工事会社の人が、「ボールが飛んでこないように『ネットをもっと高くしてくれ』ということはよく聞くが、『ネットをもっと低くしてくれ』と言われたのは初めてだと。
世田谷住人だからかどうかわかりませんが・・。何をやっても何をしても難しい世の中です。
体育の授業も体育祭も怪我のリスクには敏感にならざる得ません。
そのような状況である中、来年度の高体連の支部長の依頼が来たりして、断り続ける毎日です。この中でそんなことをやったら体が持たずに家庭も崩壊するかと・・。
11月ごろにまた、金魚ハウスにお伺いさせてもらってもよろしいですか。』
お便りありがとうございます。
読んでいて、とても安心しました。
現代の普通の学校になったと思いました。
また、貴君の仕事内容もまったく普通の学校の教員としての日々の体験だと感じました。
現代の教育の難しさは、こどもだけでなく親の価値観を理解し、なおかつその上で学校の方針を理解してもらう大変さです。
まるで沖縄の基地問題のように、理解し合えない難問を抱えているようです。
私は、全校生徒が150人ほどの小さな学校で部活動を指導したときは、休むときは、理由を伝えればすべて同等に許可するという方針でした。
病気や怪我で休む場合も、親とどこかへ出かける用事で休む場合も、あるいは友だちと遊びに行くために部活を休む場合も、すべて同等に許可しました。
部活動にとって練習を休むと言うことは、理由がどんなであれ、マイナスになることに変わりありません。そのことだけを理解すれば良しという考えです。
人よりも強くなりたいと思うなら、練習を休まないと言うスタンスです。
それは、意識の問題で、選択権はこどもに預けたわけです。
そして、親を説得しようとは考えませんでした。
こども自身が親と話し合い、親を説得することが一番だと考えました。
所詮、部活動の問題は、家族の協力が得られなければ、指導者がどんなに望んでも、無理なことです。
家庭サービスを大事にしているということで、とても素晴らしいと思います。
学校の仕事や部活動、はたまた、中、高体連の仕事は、家庭生活という土台がしっかりした上での活動です。
優先順位をつけるとするならば、家庭>学校の仕事>部活動>その他の仕事となるでしょうね。
部活動指導はサービスの一環だと考えられるようになれば、気持ちが楽になりますね。
体育の教師だからと必修のように捉え、実績をあげなければならないと考えると無理をします。
学校は、自然淘汰されてしまう低偏差値の女子校から、男女共学の進学校を目指して生き残りを図るという大風呂敷を広げた賭に出ているわけです。
そのために、相当な反動が出てくるはずです。
しかし、それらの反動は、筋肉トレーニングの負荷のごとくです。
一つ一つの問題を真摯に捉え、誠実な態度で解決を目指して取り組んでいけば、確実に学校のレベルアップが図れるでしょう。
遊びに来たいときはいつでも来てくださいませ。
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