9/28(木) 2:10配信 京都新聞
ブラックホールの成長が止まる仕組み
『 ブラックホールの成長が止まる仕組みを、京都大理学研究科の上田佳宏准教授や欧米の国際研究グループが突き止めた。ブラックホールに吸い込まれるガスが放つ「光の力」が大きくなると、光で周囲のガスが吹き飛ばされ、ブラックホールの“食べる餌”がなくなってしまうからだという。ブラックホールや銀河の成長メカニズム解明の手がかりとなる成果で、英科学誌ネイチャーで28日発表する。
光さえも吸い込むブラックホールはそれ自体としては光を出さないが、吸い込まれる直前のガスは光を放つことが分かっており、明るく輝く「活動銀河核」として観測ができる。グループは、約400個の活動銀河核を宇宙や地上から観測したデータを用いて、ブラックホールの質量、周囲から出る「光の力」の大きさ、周囲にあるガスの量をそれぞれ求めて解析した。
その結果、ガスが外向きに放つ「光の力」が、ブラックホールがガスを吸い込む「重力」を超えると、周囲のガスの量が減ることが分かった。その理由として、光が周囲のガスを重力の及ばない外側にはじき飛ばしているからだと推測した。
上田准教授は「光の力が重力を超えたブラックホールは、やがて吸い込むガスが無くなるために成長が止まり、周囲の光の輝きも消えてしまうと考えられる」と話している。』