THE PAGE 1月31日(日)13時0分配信
『 アメリカ発祥の会員制倉庫型量販店「コストコ」が、アルバイト従業員を全国一律時給1200円以上で募集しており、その好待遇が話題を呼んでいる。近年コストコは地方への出店を進めており、一部地域ではコストコの時給は、地域の最低賃金と500円以上も差がついている。コストコはなぜ、全国一律で高水準賃金のアルバイト募集を行っているのだろうか。
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地元の最低賃金との差が500円以上も
「コストコ」は、アメリカ・カリフォルニア州から発祥した会員制量販店だ。年会費を払うことにより、商品を格安で購入できることが人気で、世界9カ国697店舗まで拡大した。日本には1999年に初出店し、昨年までに24店舗まで拡大した。特に近年は地方への出店が著しく、2015年は山形県上山市、石川県野々市市、富山県射水市、岐阜県羽島市に進出した。今年4月には、宮城県富谷町で新店舗がオープンする。
コストコは、アルバイトの募集条件をホームページで公開しており、全国どの店舗でも募集条件は同一で、時給1200円から始まり、1000時間ごとに昇給し、最高1650円もしくは1800円になるという。
※ 1000時間=約6か月 時給1200円で月収は19万2000円
時給1800円だと月収は28万8000円
コストコが全国一律時給1200円以上でアルバイトを募集する理由
山形県上山市に2015年オープンした「コストコ」(安藤歩美撮影)
このコストコのアルバイト時給は全国一律で適用されるため、特に地方ではアルバイトの時給相場と大きく乖離することとなる。例えば昨年8月にオープンした「かみのやま店」がある山形県の2015年度の最低賃金は全国最低水準の696円で、コストコの時給とは504円の差がある。コストコの好待遇はネット上で広まり、コストコを賞賛する声が上がっている。
高い賃金と正社員率で地域の活性化につながれば
日本の企業は、同一職種でも地域ごとに賃金水準を変えることが一般的だが、コストコはなぜ、全国一律1200円以上という時給でアルバイトを募集しているのだろうか。コストコを運営するコストコホールセールジャパン(神奈川県川崎市)は取材に対し、次のように回答した。
「コストコでは全国どの地域の店舗でも、同じスタート時給となり、一定労働時間ごとに一定額まで自動的に昇給する制度を採っている。そのため基準となる時給は、一番賃金設定が高い首都圏を元にしており、結果としてその他の地域においては、近隣のマーケット水準をはるかに上回るものとなっている」
つまり、1200円という高い時給は、首都圏の相場に合わせた結果だという。同社は、このような基準を「グローバルスタンダードに基づくもの」と語っており、「コストコが進出している他の国においても同じルールを適用している」という。
同社は、その基準に基づいて「正社員率を50%ととても高く設定しており、高い賃金設定および高い正社員率を設けることによって、その地域の活性化にもつながればと思っております」と回答した。
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地元自治体や労働者は歓迎
このようなコストコの動きに対し、地方はどのように反応しているのだろうか。今年4月にコストコの新店舗がオープンする宮城県富谷町では、従業員募集の説明会に参加者が殺到しているという。富谷町を含む地域の企業で構成される「くろかわ商工会」によれば、地域の時給相場は750円から800円ほど。コストコの時給とは400円から450円の差がある。
同町役場産業振興課の担当者は、コストコの進出に対し「若い世代の働き先となり、ありがたい。街の発展に大きく影響するだろう」と声を弾ませる。「今まで(隣の)仙台市に働きに出ていた人も地元で働くことになるかもしれない」と期待を込める。
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人材確保が困難になる可能性も
コストコの高水準の賃金体系は、地域の労働市場に賃金上昇や人材確保の困難をもたらすことはないのだろうか。前述の「くろかわ商工会」の担当者は、「今のところ富谷町でそのような報告はない」と断りつつ、「一般論としては高水準の賃金に人材が集まることになるだろう」と述べた。同町役場の担当者も「将来、町内の工場などと人材獲得が競合することもあるかもしれない」と予測した。
実際に、高水準の時給で人材を募集する全国チェーンの店舗が、地域の労働市場に影響を与えた例はある。山形商工会議所の担当者は「2014年に(山形市の隣の)天童市でイオンモール天童ができた際には、イオンモールが1000円から1200円でパート・アルバイトの募集をかけ、当時700円から800円だった時給相場が上昇したり、人材確保が困難になったりした」と語る。
「同一労働同一賃金」を目指す安倍政権
安倍政権は、2020年までに名目GDPを600兆円に増加させることを目標に掲げている。今月22日に行われた安倍晋三首相の施政方針演説では、最低賃金を年率3%をめどに引き上げ、現在、全国平均798円のところを1000円にすることを目指す目標を掲げており、企業に対して賃金水準の上昇を求めている。同時に、今年まとめる予定の「ニッポン一億総活躍プラン」では非正規雇用の待遇改善を目指すことが表明され、「同一労働同一賃金」の実現に踏み込む考えを明らかにした。
コストコのような賃金体系や雇用体系が、地方の経済や他の企業にどのような影響を与えるのか注目される。』
『愛知県常滑市の中部国際空港対岸部でガソリンの安売り競争が激しさを増している。
外資系と地場のガソリンスタンド(GS)2店が、レギュラーガソリンを1リットルあたり85~87円で販売、全国平均を45円ほど下回る極端な安値競争になっている。消費者からは歓迎する声がある一方、競合店からは「このままでは店が潰される」と悲鳴が上がっている。
安売り競争の火付け役は、今月18日に「地域最安値」をキャッチフレーズにオープンした米国の会員制量販店「コストコ中部空港倉庫店」のGSだ。レギュラー1リットルあたり115円で売り出したところ、前日まで117円で販売していた近くのGS「ユニーオイル常滑りんくうSS」が対抗値下げに踏み切った。』
以前、ユニクロの社長が、賃金のグローバル化で、ユニクロの賃金を世界の一番低い地域の金額に合わせると言うようなことを言った。
冗談だとは思ったが、年収100万円の時代が来るだろうと脅かしたことを覚えている。
『ユニクロが店長候補として採用した全世界で働く正社員すべてと役員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を導入する考えを明らかにした。
新興国の安い賃金が引き上げられる反面高い日本のそれは低い方に収斂する。
より安い賃金を求めてグローバル展開をして成長してきたユニクロである。
社員相互の世界的な競争の激化も目的だと思える。』
外資系コストコの時給1200円の戦略、
あるいはより安い賃金で働かせようとするユニクロ。
一体彼らの真の狙いはなんであろうか?
いずれにしても、彼らの狙いは利益追求であるはずである。
労働者の時給に関心があるのではなく、同業他社との競争に打ち勝つための戦略にすぎない。
コストコは、食料品だけでなくガソリンでも自動車でもなんでも商売する。
つまり、田舎に進出して、優秀な人材を引き抜き、同業他社にダメージを与えることによって、独占企業として生き残る。
その後は、なんでもありだ。
それに対抗するには、それなりの哲学が必要である。
優秀な人材を安く使おうとする企業人は、初めから勝負にならない。
外資系の餌食になるのが見えている。
コストコのような外資系は、資金力がある。
彼らはリスクを背負っての投資を惜しまない。
投資することでのみハイリターンを勝ち得ることを何度も経験している。
日銀の「マイナス金利政策」は、銀行に対しての脅しと催促である。
銀行は、お金をため込んでいないで、どんどんリスクを背負って市場に投入せよと言う催促である。
企業も内部保留などと設備投資をしないで、ため込んでばかりいると、コストコのような外資系の企業がどんどん攻め込んできて、やがてやっつけられてしまうかもしれない。
勇気をもってチャレンジするときだと思う。