55歳の時にアルバイトしようと思って、面接したら3つとも落ちてしまった経験がある。
公民館の社会教育指導員の募集
週3日で月に10万円の報酬
どのような仕事内容かというと
役場の社会教育担当者が公民館の事業行事である老人大学校などの講座を運営し、その補助的な活動をするものである。
私は、教員の経験が31年、そして、社会教育指導主事という免許もある。
仕事の内容は、良く理解しており、自分よりも年配者のお年寄りの面倒を見たり、会場準備などをするのは、全く問題ないと思った。
1次試験は、満点の答案用紙で、難なく最終選考に進んだ。
2次試験は、3人の面接官による面接試験であった。
「あなたは社会教育指導員になってどのようなことをしたいですか?」
私は、得意になって、社会教育のあり方から将来どのように計画運営していけば、良いかを蕩々と答えた。
「たいへんすばらしい考えをありがとうございます。でも今回のお仕事はどちらかというとその縁の下で支える仕事なんです。二人組の仕事となりますが、相手がどなたであっても仲良くお仕事ができますか?」
「へぇ?」
私の持っている免許の社会教育指導主事というのは、面接官である彼らの上司になって、県や市の生涯学習施策を遂行させる立場になるときに必要なものであった。
必要な人材は、誰とペアになっても仲良く協力でき、上司の命令には忠実に従う人材だったようだ。
私のような者は、1から10まで、上司のやり方をチェックし、批判し、場合によっては、市長にまで文句を言ってしまうかも知れない。
残念ながら、そのような人物は、面接で不適格者と判断された。
次に受けたのは、学童保育の指導員というものだ。
これは、3ヶ月他の市で経験した。当時時給980円で週に3日のパートだった。
結構おもしろかったので、常勤として自分の住む街でやってみようと応募した。
私は小学校の免許も中学校の免許も1級免許を持っているし、経験も豊富だ。高校の教員の経験だってある。
しかも学童保育員は、教員免許はいらない。
もちろん勉強も教える必要はない。
安全に楽しく子ども達を遊ばせるだけでよい。
こども扱いは、慣れている。
小学校の片隅の一画に、学童保育の活動する教室がある。
その学校の校長や教頭は、元同僚かも知れない。
学童保育と小学校との連携や問題点などの情報交換もできる。
場合によっては、校長に学校の施設をもっと有効に使えるように提案することだってできる。
もちろん、対等に文句だって言える。
小学校の管轄は、文科省であるが、学童保育は厚生労働省であり、交流はまったくない。私がパイプ役になってやれる。
が、しかし、テストの結果は、公民館の指導員同様、落ちてしまった。
二次選考の8名にまでは残っていたが、残り2名には進めなかった。
理由は特に聞かなかったが、合格した方は40歳代の女性の方だった。
公務員のようなものは、確率が悪いと考え、民間の仕事のパートを探した。
チラシにネジ工場の募集があった。
仕事内容は、油取りと機械洗浄とあった。
時給920円で1名募集とあった。
工場が終わる夕方に、偵察に行ってみた。
自宅から車で10分の距離のところだ。
結構綺麗な小さな工場だった。
夏は暑そうだな、冬はストーブなんかあるのだろうか?
と考えつつ、履歴書を書いて、電話をした。
次の日の10時頃工場に来てくれと言われた。
そして、履歴書を持って、工場に着いた。
着いたとたんに、帰ろうと思った。
「ジャ~~~! ガ~~~!!!」というパチンコ屋のような騒音が工場の中から聞こえてきた。
「そうだ!ここはネジを作っている工場なんだ。」とその時、実感した。
仕方なく、履歴書をしまったまま、とりあえず仕事の説明を聞くだけ聞くことにした。
油取りという仕事は、できあがったネジが機械からころころと転がってきて下のオイル缶にたまる。
重さは20kgぐらいだろうか、そのネジは、作る過程で油まみれになる。
それを遠心分離器に運んで、ジャ~~!と入れて、機械を回し、油がとれたところで、次の行程に運ぶ作業だ。
20kg以上の重さのねじの入ったオイル缶や箱のようなものを、あっちに運んだり、こっちに運んだりする作業だ。
この仕事を一日中やるのだから、腰を痛めるだろうと思った。
次に、機械清掃とは、ネジを作った機械の周りには、ポトポトとネジが落ちている。
そのネジを拾い集めたり、機械の途中にネジが引っかかっているのを綺麗に掃除する作業だ。
その工場には、ネジを作る機械が100台ぐらい並んでいる。
作業員は2人の社員と事務の女性が1人の3人しかいない。
仕事の量が多くなったので、社員が大変なので、パートを一人募集したのだった。
ここで仕事をしている社員さんは偉いと思った。
私にはできない仕事だと思って、早々と「ありがとうございました。よく考えて連絡します。」と言って、失礼した。
今回は、私から自主的に取りやめた。
900円以上の仕事というのは、きつい、汚い、うるさい等の3k仕事だと思った。
それで、900円以上の時給の仕事を探すのをあきらめた。
しばらくして、時給800円の仕事の新聞チラシを見た。
仕事内容は、ハンドリフトやネコと言われるもので、荷物を運ぶ内容だ。
こちらが現在やっている仕事だ。
それだって、最初は採用が不合格になっていたようだった。
面接を受けて1週間がたっても何の連絡もない。
電話をして確認したら、
「うちの仕事は、無理なんじゃないですか?賃金も安いし、疲れる仕事なので。」
という返事だった。
教員の仕事以外は、学生時代にやっただけなので、相手がどのような人材を求めているのかがわからない。
大卒であったり、教師のキャリアであったり、企画運営の仕事が得意であるとかは、役に立つどころかじゃまになることもあるようだ。
それは、雇う側の立場に立てば、容易に理解できる。
一番の条件は、健康で体力があること。
そして、上司の命令にはちゃんと従って、働くこと。
それ以外の能力は、いらない。