『中学生の運動部の朝練習は原則やめるべきだとの方針案が長野県でまとまった。睡眠不足になるうえ、朝食を取りづらくなって授業にも悪影響を与えるというのがその理由。同県の調査では県内の95%以上の中学校が朝練に取り組んでいるといい、今後議論を呼びそうだ。
同県によると、中学校で運動部に参加する生徒の比率は全国の66%に比べて同県は59%にとどまる。県教委は、スポーツ医療関係者や体育教師らで「適切で参加しやすい運動部」を目指す検討委員会を設け、昨秋から各中学校に示す基準案を検討してきた。
21日の会合で示された基準案には「食事と睡眠、生活リズムを考慮し、原則として、朝練習は行わない」と明記。「完全休養日を週2日以上」「勝利至上主義に偏らず、生徒のニーズを生かす」なども盛り込んだ。
県教委の調べでは、運動部が通年で朝練をしている中学校は96・8%。朝練のために62%の生徒が午前6時半から7時に家を出て、20%は6時半より前に出ていた。3割前後の生徒が「睡眠が不十分」「疲れて授業に集中できない」と答えたという。
長野県で朝練が盛んな理由は、山間部が多くて通学時間が長く、放課後の部活の時間を確保しにくいからという。県教委は今後、県民からの意見を募集し、12月に正式に決める予定だ。
順天堂大学の内藤久士教授(運動生理学)は「朝から運動する習慣は、規則的な生活リズムをつくり、体を目覚めさせる効果がある。
問題なのは、やり方とその内容だ。
長時間にわたって強度の高い運動をすればケガの元になるし、その後の授業にも影響は出る。朝練の過熱を防ぎ、生徒への効果を見つめ直そうとする動きなのだろう」と話している。』
今から40年近く前になる。
大学を卒業して、千葉の中学校の教員になった。
市内には6校の中学校があり、その中でも一番大きな学校だった。
生徒数は、学年が12クラスもあるマンモス学校であった。
赴任して一番驚いたのが、朝の7時頃から4月のまだ肌寒い時期に、短パンと半袖の体操服姿のこども達でグランドは隙間がないほど、部活動を熱心にやっていることだった。
私は、茨城県出身で、運動部にずっと所属して、大学まで続けていたが、朝運動をやる習慣は無かった。
高校で、はじめて、自主的に朝練をやっている先輩を見かけた。しかし、あくまで自主的な参加であった。
なぜ、朝から身体も動かないのに、しかも短パン半袖で、運動をやらせているのか、疑問だった。
赴任して一ヶ月もした頃、その理由が分かった。
一つには、下校時間なるものが存在し、日没に合わせてきめられていた。一番短いのが、4時30分下校というものだった。
4時に学級の時間が終わり、外に出ると30分しか運動時間を確保することができなかった。
もう一つの理由は、「勝利至上主義だった」。
弱い部は、練習場所が無かった。
当時、体操部がグランドに外用のマットを敷いて、練習していた。
弱いので、体育館での練習場所は確保できなかった。
その顧問は、私の大学の先輩で、英語の教師だった。
確かに、朝から過激な運動をさせると、午後の授業は、成り立たなくなるほど、こども達は居眠りをする。
教務主任の時に、できるだけ午後のカリキュラムを覚醒教科にしたことがある。すなわち、音楽や美術、技術家庭、体育などである。
国語なんかが午後の授業にあると、こども達は魔法にかかったように、こっくりこっくりと居眠りをはじめた。
長野県は、昔は「長野の信州教育」と言われて、教育県として有名であった。
今ではどうか分からない。
小学生に登山をさせて、心と体を鍛える伝統などがあった。
映画で見たことだが、登山で何人ものこどもを遭難させてしまった事故もあった。
私が赴任した千葉県は、団塊の世代のこども達が爆発的に増え始めた頃だった。
教員が不足し、質はともかくとして、教員免許を持っていれば、だれでも採用した時代だった。その地区の教員の平均年齢が28歳などど言われた時代だった。
そのため、5時になると学校には、先生は誰もいなくなる地区であった。
大学を出たばかりの新米教員が街に出て、飲み歩くのである。
そのため、知恵のある校長達がみんなで、部活動の指導を推奨した経緯があった。
部活動は、すぐに結果が出る。
試合に勝てば、こども達が喜ぶし、指導者を褒めることもできる。
教育結果がすぐに現れるし、教師もこども達と接する時間が多くなれば、こどもが可愛くなるし、段々と教師らしくなっていく。
すなわち、全国から寄せ集めて質の低い教師を、部活動指導を推奨することで、少しはまともな教員に育てられるだろうとの戦略があったようだ。
と言うのも、県下でも田舎のほうは、まったく部活動は盛んでなかった。
東京に近いベットタウンのある学校区の特徴だった。
もちろん、その中の一人が私だった。
嬉しくて仕方がなかった。
回りは、みんな私と同じバカばっかりだった。
茨城の採用試験は、当時付き合っていた現在の妻と大げんかが元で、飲み過ぎて、1時間遅れで到着し、例外は認められないと、テストを受けさせてもらえなかった。それで、第二希望の千葉の教員になったのである。
私が教員になったのは、部活動指導で、日本一のこども育てたいという単純な理由からだった。
部活指導に明け暮れ、楽しい教員生活を31年続けて、引退した。
話はそれたが、一日の練習時間を2時間ぐらい確保できれば、朝練習をしなくとも大丈夫だと思う。
下校時間なんかは年間を通して同じとして、心配なら親の送り迎えをさせればいいことだ。
また、全員に部活動をさせる必要もない。
スポーツ少年団に参加させている親は、送り迎えが当たり前だ。
安全で親子が共通の目標に向かっての望ましい教育ができる。